首都圏で連続発生している強盗事件は、実行役などとして逮捕された若者の多くが交流サイト(SNS)で「闇バイト」に応募したとみられる。犯罪...
首都圏で連続発生している強盗事件は、実行役などとして逮捕された若者の多くが交流サイト(SNS)で「闇バイト」に応募したとみられる。犯罪との関連が疑われる求人情報が今も相次いでいる中、警視庁は12日、高校生らに「若い世代が使い捨ての駒として利用されている。闇バイトは犯罪行為」と訴えた。(鈴鹿雄大、米田怜央)
生徒らに闇バイトの危険性を訴える警視庁浅草署員(左奥)=12日、東京都台東区で
「『封筒を受け取る仕事』を頼まれた10代の学生は途中でやめようとしたが、指示役から『マジ殺す』と脅された。しかし、警視庁に相談して無事保護されました。大人や警察に必ず相談して」
東京都立浅草高校(台東区)であった防犯講話で、警視庁浅草署員が270人の生徒を前に「ホワイト案件」や「高額報酬」をかたる求人に注意を呼びかけた。
一連の事件では逮捕者がX(旧ツイッター)で応募していた一方、今月に入り、仕事紹介用アプリでは「夜道で猫を探すバイト」という求人が注目を集めた。
捜査関係者によると、猫は高級車の隠語で、「レクサス」などが駐車している家などを調べる目的だった可能性がある。「夜道」の理由は、夜なら車が外出先から帰っている可能性が高いから。情報は窃盗グループの手に渡り、悪用されることもあるという。
闇バイト対策として、アプリを運営するタイミー(東京)は、求人の掲載を希望する事業者の審査、掲載された求人内容を確認している。今回も「猫探し」が「不適切である疑いのある求人」として掲載を差し止めた。
この日、浅草署員から闇バイトの話を聞いた3年の女子生徒(18)は、SNSで「ホワイト案件」という投稿を見たことがあるといい「身近に潜んでいると再確認した。加担しようとしている人がもしいたら声をかけたい」と話した。
闇バイトX(旧ツイッター)などのSNSやインターネット上の掲示板で、犯罪者グループが「短時間で高収入の仕事」を装って募集。応募すると、個人情報や免許証写真の送信を求められた後、強盗やニセ電話詐欺などに加担するよう指示される。やめようとすると、「家に行く」「危害を加える」などと脅される。求人に「高額バイト」「即日即金」「ハンドキャリー」「ホワイト案件」などの文言がある場合に注意が必要。
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一連の強盗事件では、一戸建て住宅が窓を破壊されて侵入される手口が目立っている。自宅や離れて暮らす家族への防犯対策に関心が高まっている。
11月上旬の平日の午後。9月に強盗致傷事件が発生した東京都練馬区の住宅街は、日が暮れる前から、雨戸が閉まった住宅が並んでいた。
近くの50代女性は事件後、人の動きに反応するセンサーライトを購入。「近所の人たちと怖いと話し合っている。できることはしておきたい」と語った。
警備大手のセコムによると、10月の1カ月間で外部からの侵入を感知すると警備員が駆けつける「ホームセキュリティ」の問い合わせが前年同期比で5倍となった。防犯用ガラスとフィルムは42倍に急増した。
同社は5月、昨年まで相次いだ「ルフィ」と名乗る男らが指示していたとされる広域強盗事件を受けて強化ガラスを発売。バールでたたいても、貫通しづらい仕様だという。
これらの対策に加え、警察当局は戸締まりの徹底、窓に補助錠を設置することも対策になると呼びかけている。(米田怜央)
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