図書館司書の資格を持つ東京新聞・谷野哲郎記者がお薦めの場所と本を紹介します
黒が光る、という表現は日本語的には正しくないのかもしれない。しかし、この場所に来て、最初に感じたのは書庫で鮮烈に光る黒色だった。東京藝(げい)大の上野キャンパスにある附属図書館。そこは漆黒の色合いが美しいアートな図書館だった。

黒を基調とした東京藝術大学附属図書館B棟の開架書庫=東京都台東区で(川上智世撮影)
「耐震工事や増え続ける資料を収容するために昭和期からあったA棟を改修し、2017年にB棟を建てました。資料は取手分室を含めて約43万点。和書、洋書に楽譜やレコード、CDもありますね」。そう説明するのは資料サービス係長の西山朋代さん。ちなみに写真はB棟の内部である。
書庫には音楽や美術に関する貴重な資料が保管されている。指揮者や作曲家、画家や彫刻家らを目指す学生たちが熱心に通い、作曲家の自筆の楽譜(レプリカ)や外国語で書かれた原書を読み込んで研究する。年間の利用者は約2万3000人という。

窓外に上野公園の緑が広がる=東京都台東区で(川上智世撮影)
興味深い話を聞いた。ここにはピアノの練習曲として有名な「バイエル」の古い楽譜がある。1880(明治13)年に米国から取り寄せたもので、藝大に入ってきた最初の楽譜の一つだそうだ。
「日本人はピアノというと、バイエルから始めた方が多い...
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