幸福の夢を共に実現する――「菌草の娘」林冬梅の20年にわたるアフリカ支援の道

編集者注： 新華社の報道によると、先日、習近平国家主席はアフリカ50カ国の学者に返信を送り、彼らが引き続き高水準の中国・アフリカ運命共同体を構築し、「グローバル・サウス」の共通利益を守るために知的サポートを提供することを奨励しました。習近平主席は、中国とアフリカは常に運命共同体であると強調しました。激動する世界情勢に直面し、中国とアフリカはこれまで以上に団結と協力を強化する必要があります。福建農林大学には、20年にわたり中国・アフリカ協力に尽力し、彼らに富をもたらす菌草技術を伝えた女性学者がいます。菌草栽培は広大なアフリカ大陸に広がり、新時代の中国・アフリカ協力の新たな「記念碑」を築き上げています。

東南網9月5日報道（記者：許上福、王祥楠、林先昌　通信員：林良輝） 最近も、林冬梅の足取りは非常に慌ただしい。新疆ウイグル自治区のタクラマカン砂漠の周辺と北疆で、菌草による生態治理と産業発展に関する2つの会議を組織したばかりで、議論の声がまだ消えないうちに、彼女はすでに北京行きの飛行機に乗り込んでいました。アフリカ支援の科学技術者代表として、彼女は2024年中国・アフリカ協力フォーラム北京サミットの開幕式に出席するためです。

アフリカに菌草技術を伝える使者として、彼女は1か月前にもアフリカの3カ国（ルワンダ、タンザニア、エジプト）を訪問し、国連高官代表団に同行してアフリカの菌草プロジェクトの実施状況を現地視察し、菌草技術の研修やプロジェクトの実施などに関する活動を行いました。

2004年に南アフリカを支援した時から数えて、今年で20年になります。林冬梅はこれまでに37回アフリカに赴き、「幸福の草」をアフリカ大陸の各地に根付かせ、現地の「富をもたらす草」とし、多くの女性や弱者を含むアフリカの人々の幸福の夢を実現しました。

人に魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えるべきです。林冬梅は「菌草の父」と呼ばれる林占熺教授の菌草による海外援助の理念を受け継ぎ、女性の視点からアフリカの女性たちと協力し、草の栽培や菌の育成などの技術を教え、彼女たちの貧困脱却と富裕化を支援し、アフリカの女性たちと深い友情を築いてきました。彼女の感動的な物語は、アフリカ現地で広く称賛されています。林冬梅は、現地で「彼らは私を『菌草の娘』だと思っています」と語っています。

「菌草の父」から「菌草の娘」へ

菌草による海外援助事業は後継者を迎える

物心ついた時から、父の林占熺は林冬梅の誇りでした。なぜなら、彼女の父は「菌草の父」であり、早くも1980年代に「草で木を代用する」食用菌栽培技術を発明し、「菌と林の矛盾」という世界的な難題を解決したからです。菌草技術は福建省から出発し、徐々に全国に広がり、貧困脱却を支援する「貧困扶助の草」、「幸福の草」となりました。

林冬梅の現在の肩書は、福建農林大学菌草・生態学院副院長、国家菌草工程技術研究センター副主任、国連菌草プロジェクト顧問です。彼女の菌草の道は、必然に見えて、実は偶然でもありました。

17歳の時、林冬梅はシンガポールに留学する機会を得て、父の事業から、そして菌草から遠ざかりました。彼女は海外で10年間を過ごし、公務員となり、安定した生活を送っていました。2001年、林占熺がパプアニューギニアで初めて菌草による海外援助活動を行うためにシンガポールを経由した際、娘と短い時間を過ごしました。この出会いが、林冬梅に父の鬢の白髪と遅くなった足取りを見させました。その瞬間、彼女の心は深く揺さぶられました。父が一人で海外を奔走するのを見過ごすことができず、2年後、彼女はシンガポールでの恵まれた仕事と永住権を放棄し、帰国して父の菌草技術チームに加わりました。

帰国後の林冬梅は、父と一緒に教材を編集し、科学研究に参加し、資料を翻訳し、国内外の貧困地域を歩き回りました。彼女は徐々に父の堅持を理解し、この事業の意義を理解しました。それは単なる技術の普及ではなく、世界への約束でもあるのです。林冬梅の加入は、チームの管理における弱点を補いました。化学、生物学、教育学など多岐にわたる学問の経験、国際的な留学・就業経験は、彼女に広い視野と思考をもたらしました。彼女は菌草技術の産業化応用を科学研究の「造血」とする発展構想を打ち出し、菌草技術の産業化応用を通じて、技術開発に資金サポートを提供しました。

林冬梅が初めてアフリカを訪れたのは、2004年のことです。その時、彼女は父に同行して南アフリカのクワズール・ナタール州に行き、菌草技術を普及させました。初めてアフリカに到着した時、彼女が見たのは広大で貧しい土地であり、現地の後進的な状況に彼女は衝撃を受けました。「こここそ、私たちの菌草が必要な場所ではないか？」すぐに、林冬梅はここに菌草の希望も見出しました。

20年前、現地の農民にとって、菌草技術は目新しいものであり、菌草を使ってキノコを栽培することは聞いたこともありませんでした。彼らはキノコの発生時の温度と湿度の制御方法を知らず、キノコ栽培場の管理方法も知りませんでした。林冬梅と彼女の同僚たちは、最も簡単な方法、つまり容量の決まったバケツを購入し、毎日決まった時間に何杯かの水をまくように教えました。この一見単純で機械的な方法の背後には、実は林冬梅と彼女の同僚たちが繰り返し試験して得られた科学的なデータがあります。

このオーダーメイドの貧困削減計画は、現地の農民女性が自分の努力によって運命を変えるのを助けました。月収わずか390ランド（現地通貨）の女性プレシャスは、菌草キノコを栽培することで、1週間で1120ランドを稼ぎました。これにより、彼女は子供の学費の心配から解放されただけでなく、尊厳を取り戻し、目に再び輝きを取り戻しました。貧しい女性が菌草キノコを栽培し、収入を得て、それによって家庭生活を改善するのを見て、林冬梅はこの時、菌草による貧困扶助と海外援助事業の意義を真に実感しました。それは、より多くの人々に運命を変える希望の火を灯すことなのです。

「シングルマザー」から障害を持つ女性までを支援

林冬梅は37回アフリカを訪れ、菌草で弱者の運命を変える

福建農林大学の国家菌草研究センターには、石碑が静かに佇んでおり、そこには「菌草業を発展させ、全人類に幸福をもたらす」という言葉が刻まれています。これは、かつて福建省委員会書記を務め、後に中国扶貧基金会会長を務めた項南氏が、菌草事業のために自ら書き記したメッセージです。20年間、林冬梅は37回アフリカに飛び、菌草技術を普及させてきました。砂漠から干潟、高地から塩害地まで、彼女は自分の足で多くの貧しい土地を踏破してきました。

アフリカで、林冬梅は「10平方メートルキノコ栽培場」モデルを普及させました。農家は10平方メートルの土地を利用して、1年で1.2トンの生キノコを生産できます。菌種を植えてからわずか7日後には、農家は収入を得ることができます。林冬梅は発展途上国のために「菌草技術国家モデル基地＋協同組合＋農家」という組織形態を革新し、「シングルマザー」などの貧しい女性たちを組織して菌草生産を発展させ、貧困脱却と富裕化を実現しました。彼女は多くの国の女性青年と農家に留学奨学金と国際研修、交流協力の発展機会を提供しています。

2023年6月、林冬梅は中国・アフリカ女性フォーラムで基調講演を行うよう招待され、パプアニューギニアの女性フレダ・コラロムが菌草技術によってどのように自分の運命を変えたかについての話を共有しました。林冬梅は証人であり、参加者でした。中国の専門家の支援を受けて、フレダは貧しい農村の女性から菌草栽培のリーダーへと成長しました。現在、彼女は自分の家を建て、車を購入しただけでなく、自分の菌草キノコ農場を設立しました。彼女の農場は毎週200キログラムの生キノコを生産し、東部高地州のキノコ販売業者に供給し、現地の25人の農家に雇用機会を提供しており、そのほとんどが女性です。数年間で、フレダは菌草技術を周辺の10の村に広め、中国の専門家と一緒に現地の1500人の女性、青年、障害者を訓練しました。

「私が発展途上国への援助に参加する過程で、フレダのような多くの女性に出会いました」と林冬梅は言います。「菌草技術のエンパワーメントを通じて、レソトの失業中の女子大学生、フィジーの障害を持つ女性が、女性会長、女性起業家、女性科学技術者へと変わりました。」

「南アフリカの多くのシングルマザーやルワンダ虐殺の犠牲者の未亡人は、かつて絶望的な状況にありましたが、私たちは彼女たちに菌草栽培の技術を手取り足取り教え、生活が好転し、将来への新たな希望を持つようになりました。私は技術が持つ社会的価値を深く実感しました」と林冬梅は記者に語りました。彼女がこれほどまでに仕事に打ち込み、寝食を忘れて働くことができるのは、菌草技術が貧しい人々の運命を真に変えることができるのを見たからです。

南アフリカ、ルワンダから広大なアフリカ大陸へ

「菌草の娘」は幸福の夢を共に実現する素晴らしい物語を紡ぎ続ける

今年8月初旬、ルワンダで開催されたアフリカ地域菌草技術研修には、アグネス・アインカミエも参加していました。彼女はルワンダ初の菌草プロジェクトコーディネーターです。

2007年、アインカミエは大学を卒業し、初めて中国の菌草専門家に出会った後、自分の進むべき道を見つけました。学習と実践の中で、毎日中国の専門家と肩を並べて働くことは、彼女に「格別な高揚感」を与えました。

アインカミエは、「私が最も幸せを感じるのは、私たちが多くの人を助けることができることです。菌草技術は特に人気があり、特に女性や青年が研修を受けた後、生計と進路を見つけ、収入が倍以上になった人もいます」と語っています。

20年間、林占熺と林冬梅が率いる菌草研究チームは、アフリカ45カ国で8000人以上の研修生を育成し、ルワンダ、中央アフリカ、レソト、南アフリカ、マダガスカル、ナイジェリア、タンザニアには、さまざまな規模のモデル基地とモデル地点があり、中国の菌草技術を普及させてきました。全世界ではすでに1万4000人以上を研修し、菌草技術は18の言語に翻訳され、世界中で継続的に普及しています。菌草による海外援助は、「星の火」のように、希望と友情の光を灯しています。

レソトでは、菌草技術は現地の民謡のテーマにもなっています。「ある人は、彼女は雑草だと言う。ある人は、彼女は生命だと言う。彼女は食べ物であり、薬でもある。彼女は希望の物…」林冬梅は、菌草技術の普及は単なる技術援助ではなく、新たな発展モデルの探求でもあることを深く理解しています。彼女は発展途上国のために「菌草技術国家モデル基地＋協同組合＋農家」という組織形態を革新し、「シングルマザー」などの最も貧しい女性たちを組織して菌草生産を発展させ、貧困脱却と富裕化を実現しました。彼女は多くの国の女性青年と農家に留学奨学金と国際研修、交流協力の発展機会を提供しています。2019年、彼女は中国・アフリカ農業発展分野への貢献により、中央アフリカ共和国のトゥアデラ大統領から「中央アフリカ共和国国家感謝（将校）勲章」を授与されました。これは彼女個人の努力に対する評価であるだけでなく、菌草技術のアフリカへの貢献に対する評価でもあります。

林冬梅の計画では、今後5年間で、彼女とチームは世界でさらに20の菌草モデル基地を建設し、菌草技術の世界的な発展を推進し続ける予定です。

林冬梅は、菌草技術の科学技術サービスの範囲を拡大し、女性のエンパワーメントのレベルを向上させ、各国の現地での高品質なタンパク質食品の生産を促進し、菌草技術を利用して女性の雇用を増やし、貧困削減を実現し、菌草生態治理技術を応用して極端な気候条件、特に乾燥地域における水資源の効率的な利用、食糧安全保障、砂嵐対策に、より経済的で効果的なグリーンで持続可能な開発ソリューションを提供したいと考えています。

林冬梅の努力により、中央アフリカとナイジェリアの大学は正式に菌草学の授業を開始しました。オンラインで菌草技術を紹介することで、林冬梅はすでに数千人に知識を伝え、菌草産業を発展させる方法の経験を共有しました。

この技術は、アフリカの発展途上国に、雇用の増加、貧困削減、環境保護などの面で新たな道を開き、多くの発展上の問題を解決するのに役立ちました。同時に、菌草技術は中国とアフリカの交流において友情の架け橋となり、世界の貧困削減事業に中国のソリューションと中国の知恵を提供し、人類運命共同体と高水準の中国・アフリカ運命共同体の構築に重要な貢献をしました。

「菌草を発展させ、人類に幸福をもたらす。」これは単なるスローガンではなく、林冬梅の未来への確固たる信念です。彼女は、菌草技術の普及は、単なる知識の伝達ではなく、文化の融合であり、希望と友情の伝達であることを深く理解しています。彼女が仕事で示しているように、この小さな草は、小さいながらも、彼女の努力によって、海を越え、世界に向かい、より多くの人々に運命を変える希望をもたらしています。