国民健康保険料、外国人だけ前払いしてもらう? 厚生労働省が提案した未納対策 日本人も滞納は多いわけだが

外国人の国民健康保険(国保)料の未納が問題視される中、厚生労働省は10月末、国保に加入する外国人らの保険料前納を可能とする条例改正の参...

ai Dec 8, 2025 IDOPRESS

外国人の国民健康保険(国保)料の未納が問題視される中、厚生労働省は10月末、国保に加入する外国人らの保険料前納を可能とする条例改正の参考例を自治体に示した。外国人の転出入が多い自治体は未納防止策と期待を示す一方、外国籍を持つ住民らと日本人で対応を分けることに疑問の声も出ている。(佐藤航)

◆留学生1万8000人の新宿区は、納付状況の悪さに悩み

「なるべく速やかに適切な対応ができるよう、しっかり検討したい」。東京都新宿区の吉住健一区長は11月17日の定例会見で前納について問われ、区内の課題を踏まえた上で前向きな姿勢を見せた。

新宿区役所(資料写真)

同区は、人口に占める外国人の比率が13.5%(4月現在)と23区で最も高い。2024年度に区内の外国人が納付すべきだった国保料のうち、年度内に納入された額の割合は約53%にとどまり、日本人を含む全体より20ポイント以上低かった。

吉住区長が要因の一つに挙げたのが、留学生ビザで居住する外国人の多さだ。区内では9月末時点で約1万8000人の留学生が住民登録しているといい、「多くが短期間で異動する。未納のまま(国外に)異動されてしまうと、かなり労力をかけないと収納できない」と訴える。

◆政府の未納対策は「1年分前払い」の制度化

厚労省が全国150市区町村を対象に実施した調査によると、2023年度の国保加入者のうち、2024年末時点で外国人の収納率は63%で、日本人を含む全体の93%を大きく下回った。母国とは異なる制度への理解不足などが一因とみられる。

診療所の受付(写真と記事とは直接関係ありません)

厚労省は未納対策として、収納事務を担う自治体に向けて、前納に関する条例の改正例を通知した。現状は多くの自治体が10回程度の分納で徴収しているが、改正例では、保険料を課す前年度の1月1日時点で国内に住民登録していない人が世帯主の場合、最大1年分の保険料を前払いさせることが可能になる。

海外でも日本と同様の国民皆保険制度を持つ英国は、6カ月以上滞在する留学生などの一時滞在者に、ビザ(査証)申請や更新の段階で保険利用料の前払いを求めている。

◆東京の特別区では慎重論が多い…その理由とは

厚労省が未納対策として条例改正例を示した一括前納は、加入者の負担も大きく...

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