〈坂本光司さんと歩く「いい会社を探して」〉ケアメイト
50年間にわたり全国8500社を見て回り、いい会社を世に広める活動を続けている「人を大切にする経営学会」の坂本光司名誉会長(元法政大学大学院教授)。社員や顧客など会社に関わるすべての人を大切にする会社は、業績も良いと説きます。記者が坂本さんに同行して、きら星のごとく輝く会社や経営者を随時紹介していきます。
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「今回は、過去の大失敗に向き合ってやり直し、事業も社長自身も成長している福祉関連企業の話です」
そう話す坂本さんと訪れたのは品川区に本社がある「ケアメイト」だ。
創業からちょうど30年。品川、大田、目黒区などの城南エリアに八つの営業拠点を持ち、居宅介護支援や訪問看護、地域保育、配食サービスなどを手がける。
こだわりは二つある。利用者の「わが家でずっと」という願いに応える在宅サービスを重視すること。お年寄りと子どもがふれあうなど「多世代」をつなぎ、真の社会的企業になることだ。

日常的に高齢者と保育園児が交流できる環境が整っている「けめともの家」=品川区で(五十嵐文人撮影)
板井佑介社長(47)は「都市部で起きがちな孤立や孤独を防ぐ『ご近所』の役割を果たしたい。配食サービスは独居宅の見守りも兼ねている」と話す。
今でこそ順調だが、そこに至るまでには曲折があった。会社の前身は祖母が起こした家政婦紹介所で、1990年代に介護保険サービスへ事業転換し、1996年にケアメイトを創業した。
祖母の後は、佑介さんの父・和親さんが継ぎ、佑介さんは大学卒業後、大手生命保険会社に就職。家業を継ぐ気はなかった。だが和親さんが急逝し、33歳の若さで突然、社長を継ぐことになった。
右も左も分からない中、猛勉強して資格を取り、ケア現場にも自ら入りがむしゃらに働いた。事業は拡大し、新卒採用も始め、就任5年で売り上げは大幅増加、営業拠点も増やした。
成功は先代からの番頭役だった事業部長らの支えがあってこそだったのに、それが目に入らず、すっかり天狗(てんぐ)になった。忠告をされれば、「何様のつもりだ」と罵倒し、部下を大声で叱責(しっせき)するのも日常茶飯事。社員は次々と辞め、とうとう事業部長まで会社を去った。
「当初の謙虚な姿勢は消...
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